我孫子市鳥の博物館訪問レポート
2013年に我孫子市鳥の博物館にて開催されていた第66回企画展【鳥の骨格展-空飛ぶ骨組み-】を見損ねた私。
今回ハシビロコウのホームページを立ち上げることをきっかけに、
日本で唯一ハシビロコウの全身骨格を所蔵されている博物館のお話をお伺いしたい!と思いたち無理を承知でご連絡しました。
お忙しい中、学芸員の小田谷様にお話をお伺いする機会を頂きました。
・所蔵の個体由来について
博物館では2体の剥製と1体の全体骨格を所蔵されています。
常設展示している1体の本剥製は、元々は個人所蔵の
アフリカ・ザンビアで1994年にザンビア政府により捕獲された♀個体です。
もう1体は2002年2月7日に亡くなった千葉市動物公園で飼育されていた♀の個体です。
普段公開されていない全身骨格も同じ個体からだそうで、
ひとつの個体から、剥製と全身骨格、両方出来るんですね。(両取り個体)
・分類学的に(急にアカデミック調になりますが)
2008年と昨年2014年の発表によりハシビロコウは発表以前のコウノトリ目からペリカン目に分類されています。
私のような素人がみるとペリカンに失礼ながら、ペリカンには全然にてないっ!と思いますが
DNA解析の結果、コウノトリ目コウノトリが非常に独特なものといことがわかり以下の分類となったそうです。
・コウノトリ目/コウノトリ
・ペリカン目/ サギ・トキ・ペリカン・ハシビロコウ
・カツオドリ目/ウ・カツオドリ(←以前の分類はペリカン目にペリカン・ウ・カツオドリ)
・ハシビロコウの眼
ハシビロコウは若い時の眼球の色は黄色に見え、大人になると青く見えます。
なぜそうなるかはわかりませんが、鳥の世界ではそういった種がいくつかあるそうです。
目のことで更に教えていただいたのは、鳥は私たち人とは異なり、4原色(ヒトは3原色)の世界をみていること。
鳥好きの方には一般常識なのかもしれないですが、マクロ目線でハシビロコウしか見ていなかった私。はじめて知りました。
私たちには透明にしか見えない、紫外線の色が見えているそうで
人よりはるかに鮮やかな世界を見ているんですね。
そう考えますと、なんとなく合点いくシーンが思い出されます。(思い込みともいいますが)
上野のサーナやアサンテも何に興味を引いたのか、急激に人や物に突進していく動作をすることがあるのです。
ググってみますと、4原色の色覚をもつ女性画家がサンディエゴにいらっしゃるそうです。
その方いわく、ご自身のスタジオから臨む夜の景色は、夜空の色をまく黄色がまじったサファイヤ色だそうです。
ハシビロコウの皆もそのような夜空を見て何を感じているのでしょうか。まったくわかるはずもありません。
・ハシビロコウの嘴(クチバシ)
嘴(クチバシ)は全身骨格が本物の嘴の骨、剥製はレプリカだそうです。
実物を前にしても剥製が本物かと思うほど、よーくできています。
嘴について時期によって微妙に色が変わることを質問したところ
鳥の世界では繁殖シーズンに嘴の色変わるいくつかの種があるそうです。
はっきりとしたことは分かりませんが、シモヤケではなさそうです。
・骨格標本
個人的には剥製とはまた違ったハシビロコウを感じて惚れ惚れと見入ってしまいました。
アイデンティティーである嘴がよりはっきりと強調されるからでしょうか。
骨格標本の嘴の作り方が想像できずにおりましたしたが、
放置しておくと自然に嘴の表皮(?)がズルッとむけて白い骨が現れるそうです。
と、いうことは!上野のシュシュ・ルタンガは骨格になってもポッテリ嘴ルタンガ君、
アサンテさんもチョット曲がってるアサンテさん、神戸のカシシさんは八重歯調のかわいい骨格標本ができるんですね。
私より先に骨になることは全く望みませんが、想像して楽しんでしまいました。
☆☆☆☆☆
あまりの全身骨格オーラに圧倒されてしまい、具体的な質問もできませんでしたが
今回、お世話になりました学芸員の小田谷様に改めましてお礼を申し上げます。
素人の突拍子もない質問に極めて真摯にご対応いただき感謝感激です。
誠にありがとうございました。
注)骨格標本は常設展示しておりません。不定期開催の【鳥の骨格展】等のイベントで展示されます。
詳しくはホームページでご確認ください。